【the setting sun】
Vo03

が砂に来てから早くも2年もたった。

暮らしていくうちにかつての故郷の記憶が薄れていく。

かつての故郷の様に電車が走る事も無く、
救急車のけたたましいサイレンが鳴る事も無く、
自分が立っているこの地は
違う世界なんだ…と

4歳だったも6歳に、5歳だったサソリは7歳に。

奇しくも世界は大戦を向かえ殺伐とした雰囲気を漂わせていて
一緒にいる事の多かったチヨも例外なく忙しくしていた。

「今日もチヨママ帰ってこないのかなぁ…」

「仕方ないよ、チヨバア様は忙しいから…」

広い家に子供が2人。

家の事は代わる代わる大人の人がきてやってくれているが

まだ6歳と7歳。
寂しさには勝てない。

二人は寄り添って一緒の布団で眠っていた。

サソリの両親を送り出したのは1週間前。
未だに連絡はない。

いつもならマメに連絡をくれるのに…

二人を襲う不安と嫌な予感。
当たらなければ…と心から願う…




俄かに外が騒がしくなった。
横ですやすや寝ているサソリを起さないように布団から抜け出して
扉に近づく。


わずかに開いたドアから見えるのはチヨと知らない男の人。


「チヨマ…「なんじゃと!!!!」

が発した言葉が途切れた。

「おのれぇ…木の葉の白い牙めぇぇぇぇぇ…」

初めて聞く地を這うようなチヨの声に扉の前ですくみあがる。

「この事はサソリには話してはならんっいいな」

「承知…」

音も無くその場から消えた男の人、
ギュウと手を握って震えているチヨに何が起きたのかなんとなく
分かった。

「(お母さんと一緒だ…お父さん死んじゃった時の…)」

「ん……?」

隣の温もりが無い事に気が付いてサソリが起きてしまった
その声に反応してチヨが振り向いてこちらに向かってくる。

「チヨママ帰ってきたよ〜」

「ほんとう!じゃぁお母様たちも!?」

「…わかんない」

「そっかぁ…」



ギィ



「二人とも起きていたのか…」

少し疲れた顔をしてチヨが入ってくるのと変わりにサソリが抱きついた。

「チヨバア様おかえりなさい!!お母様達も一緒???」

「いっいや、二人は急に他の任務が入ってしまってのぉ…
もうすこしかかるようなんじゃ…」

「そうなのですか…」

「なぁに、すぐに戻ってくるじゃろうて…いい子で待てるな?」

「はい、チヨバア様」

もじゃ、ワシも中々帰ってこれなんだが、いい子でいるのじゃぞ?」

「はい、チヨママ」

「さ、子供は寝る時間じゃゆっくりおやすみ…」

「「…おやすみなさい」」

「おやすみ…」

パタン

無機質な音を立ててドアが閉まり、
もう一度ベットに横になるものの眠れそうにない。

…」

「サソリ…」

ギュウとお互いの手を握って
まぶたを閉じる、

もサソリも目を閉じても眠れそうに無かった。

眠れても怖い夢を見そうで怖かった。
ただ、お互いの体温が次第に二人を夢路へと運んでいた。




何日経ってもサソリの両親は帰ってこなかった。

次第に塞ぎがちになるサソリを元気つけようと
は沢山話しかけた。

一緒に遊んだりもした。

そんなある日チヨが小さなお人形を操って二人の前に現れた。

「二人ともコレの作り方を覚える気はないか?」

沈みがちだった二人の顔に笑顔が戻る

「教えてくださるのですか???」

「ああ、いいぞ?おぬしはどうする?」

「もちろんやってみたい!!」

「じゃぁついておいで」

少しカビっぽい部屋に案内されて、
その中は大きな人形や動物の形をした物が沢山吊るされてて
少し怯えたはサソリの服の裾を掴む。

「此処にあるものは何でも使っていいぞ、好きなモノを作ってごらん?」

優しい笑顔で二人にいうチヨに二人はパァと満開の笑顔を見せる

「何を作ってもいいの!?」

「ああ、好きなモノを作るといい、完成したら見せておくれ?」

「はい!!チヨママ!!」

「チヨバア様ありがとう!」

何つくる??」

「どうしよう…サソリは?」

「僕はもう決まってるんだ〜」

「えーずるい!!私何にしよう…うさぎさんにしようかなぁ〜」

はまだまだ子供だなぁ〜」

「む…サソリだって1こしかかわらないじゃないかー」

そんな二人のやり取りを見届けてチヨは部屋から出て行った。

「サソリは結局何をつくるの??」

「チヨバア様には内緒だよ?」

「うん」

「父様と母様をつくるんだ…」

「サソリ…」

「僕…もう分かってる…二人がもう帰って来ない事…」

「え…」

「だっていくら任務でもこんなに遅くなるわけ…ないもん…」

語尾は涙声で少しかすれていた。

「でもね、僕にはが居るから…寂しくないよ?」

「うん!私はずーーーーーーっと側にいるからね!」

「うん、でもねどうしても二人のお人形作りたかったんだ」

「そっか!じゃぁ一緒につくろうよ!!」

「うん!」

扉の向こうにチヨがまだいるとは思わずに作業に入る二人の会話に
チヨが悲しげに顔を伏せていた。